僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療の現在
僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療は、体外循環における血液希釈、体格が小さいことによる技術的な難易度の高さなどのため、小型犬での実施は困難とされてきた。しかしながら、近年、日本において犬の僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療の成績は飛躍的に向上し、より安全に実施することができるようになってきている。現在ではおそらく10名ほどの執刀医がおり、国内の複数の施設で外科治療が実施されている。僧帽弁の外科治療がスタンダードとなりつつある本国は、世界的にも稀有な環境であると言える。だからこそ、多くの獣医師に僧帽弁の外科治療のメリット・デメリットをより正しく理解していただき、治療の選択肢の一つとして考えていただきたい。本稿がその一助になれば幸いである。
- 執筆者
- 水野 祐(JASMINEどうぶつ循環器病センター)