犬のクッシング症候群の診断 〜第4回 ACTH刺激試験②〜
繰り返しになりますが、現在私は、犬の自然発生のクッシング症候群の診断にはできるだけACTH刺激試験を用いないようにしています。その理由は前回述べたとおりですが、ACTH刺激試験は感度が比較的低いこと、特異度についても懐疑的であること(特に副腎腫瘍において)、日本では明確なカットオフ値が定まっていないこと、グルココルチコイドフィードバックに対する視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)の感受性低下を評価する検査ではないこと、そして尿中コルチゾール/クレアチニン比(UCCR)と比較して煩雑で侵襲的であることがあげられます。近年では、治療モニタリングにおいてもACTH刺激試験が使用される機会が減少しており、診断時のACTH刺激試験の結果を参照する必要性も少なくなってきています。