小動物臨床現場におけるダーマキットの使い方
「ダーマおじさん」。
筆者が学生のころ、研究室の中でこう呼ばれることがあった。由来は明白であり、当初筆者の卒論テーマがダーマキットを用いた皮膚糸状菌の研究であったため、研究室に保有している多くの皮膚糸状菌(Microsporum属、Trichophyton属)を、ダーマキットを用いて日々培養していたからである。そんなこともあり、筆者はダーマキットを用いた検査に対して、ある程度自信をもっている。
一方、小動物臨床現場ではこのダーマキットの使い方に自信を持てない獣医師が多いと認識している。実際、筆者が診察を行っている大学において「ダーマキットが赤くなったため抗真菌薬を投与したが改善しない」と言った紹介はよくある。また、そういった経験のためダーマキットを「よくわからない曖昧な検査キット」と思ってしまう獣医師も多いのではなかろうか。