歯周病へのアプローチ~軽度から中程度歯周病の治療①~
歯周病はその高い罹患率にも関わらず、診断が下されていないことが多い。それは獣医歯科教育が不十分なこともあるが、多くは臨床症状があらわれにくいことに起因すると考えられる。したがって、病態がかなり進んではじめて治療対象と認識されることが多く、無治療で放置されていることが多い疾患とも言える。抜歯しか選択
肢がないような状況まで歯周病を放置し、飼い主に「もっと早く治療していればよかった」という後悔をさせないために、獣医師は歯周病のステージングとそれぞれのステージにあった治療選択肢の提案ができるようにしておかなければならない。歯周病の治療は本来は抜歯ではなく、保存できる歯を良好な状態にして保存することである。
本項では、歯周病の治療というテーマで、抜歯が必要なほど進行した重度歯周病ではなく、その手前の段階の、歯の保存が可能な軽度~中程度の歯周病についての治療法について解説する。