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学術情報
前回は麻酔のモニタリングに関して全身麻酔のモニタリングについて解説した。 今回と次回では生体機能の中でも特に重要な循環と呼吸に関するモニタリングについて紹介する。今回は循環管理について麻酔モニターの中でも特に重要度の高い非観血的動脈圧測定を中心に解説していく。
全身麻酔は動物の活動を停止させにいく作業である一方、もちろん生理的な体の機能は維持しなければならない。つまり、相反する作業が求められるわけであり、麻酔の維持が不十分であれば麻酔をした目的(例えば外科手術)を達成できないし、過剰になれば生命活動が阻害され臓器障害や最悪死に至る。よって、全身麻酔中のモニタリングは主に①全身麻酔が維持されているかのモニタリング、②生体機能のモニタリングに大きく分けられる。
麻酔は麻酔をかける前に既に始まっているし、覚醒した後も麻酔は終わっていない、と筆者は考えている。そう考える理由は、あくまで麻酔が獣医療のピースの一つであり、それだけで成り立つものではないからである。つまり、麻酔中に何も問題なければオッケー(もちろん素晴らしいことだが)、というわけではなく、麻酔をかける前にどんな背景があって、その先に何があるのかを常に意識しなければならないと考えている。