犬猫のうんちコラム [第14回] ディスバイオーシスを標的とした治療法:FMT その7~コンパニオンアニマルのFMTガイドラインを読み解く:Part 2「うんちの下準備と仕込み」~

犬猫のうんちコラム [第14回] ディスバイオーシスを標的とした治療法:FMT その7~コンパニオンアニマルのFMTガイドラインを読み解く:Part 2「うんちの下準備と仕込み」~

著者について

大森 啓太郎(東京農工大学)

大森 啓太郎(東京農工大学)

略歴

2007年10月-2012年3月 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 助教
2012年4月-2020年5月 東京農工大学大学院農学研究院 講師
2019年 アジア獣医内科学専門医(内科)
2020年6月 東京農工大学大学院農学研究院 准教授
2024年8月 東京農工大学小金井動物救急医療センター 教授

はじめに

前回のコラムでは、コンパニオンアニマルFMTガイドラインPart1をもとに、「理想的な糞便ドナーとは何か」について解説しました。健康状態、既往歴、投薬歴、生活環境、食事内容、同居動物の有無など、ドナー選びだけでも考慮すべき要素は山ほどあります。しかし、どれほど理想的なドナーが見つかったとしても、それだけでFMTが完成するわけではありません。
FMTを料理に例えるならば(最も対極に位置する例えでスミマセン…)、ドナーから採取した糞便は材料に該当します。料理として完成させるには、材料を調理し、盛り付けをして提供する必要があります。
うんちは、採取した瞬間から刻一刻と変化を始めます。温度、時間、酸素への曝露、攪拌の有無、保存条件。こうした一つ一つの要素が、糞便中の微生物叢に影響を与えます。つまりFMTとは、「うんちを移植する治療」ではなく、「うんちをどう扱うか(どう調理するか)まで含めた医療行為」なのです。
そこで今回は、FMTガイドラインPart2「うんちの下準備と仕込み」に焦点を当てます。ガイドラインをご紹介しながら、「現場では実際どうなのか」「理想と現実のズレはどこにあるのか」、そして筆者自身がFMTを通じて考えてきたことを掘り下げてみたいと思います。