犬猫のうんちコラム [第13回] ディスバイオーシスを標的とした治療法:FMT その6~コンパニオンアニマルのFMTガイドラインを読み解く:Part 1「理想のドナーとは」~

犬猫のうんちコラム [第13回] ディスバイオーシスを標的とした治療法:FMT その6~コンパニオンアニマルのFMTガイドラインを読み解く:Part 1「理想のドナーとは」~

著者について

大森 啓太郎(東京農工大学)

大森 啓太郎(東京農工大学)

略歴

2007年10月-2012年3月 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 助教
2012年4月-2020年5月 東京農工大学大学院農学研究院 講師
2019年 アジア獣医内科学専門医(内科)
2020年6月 東京農工大学大学院農学研究院 准教授
2024年8月 東京農工大学小金井動物救急医療センター 教授

はじめに:うんちは臓器である

糞便微生物叢移植(FMT)は、腸内環境の乱れ(ディスバイオーシス)を整えるための治療法として、ここ十数年で大きな注目を集めています。これまでのコラムでは、ヒトにおけるFMTの発展、犬や猫への応用、筆者が行ってきた慢性腸症やアトピー性皮膚炎の犬への応用を取り上げてきました。
FMTは単に「善玉菌を移植する」行為ではなく、腸内細菌という「臓器」を他の個体に移す、いわば臓器移植に近い行為です。したがって、提供する側のうんちがどのようなものであるかが、治療の成功を左右する要因の一つになります。